80歳の置時計を修理しよう 素敵な修理 その2
80年前の置き時計
ふたを開けてみたら時計のキモ、ヒゲゼンマイがありませんでした
さてどうしましょう
3回にわたってお届けする素敵な修理・第2回です
昭和初期の部品はさすがにありません
が、昭和中期~後期に活躍?したB型目覚ましというもののヒゲならストックがあります
整形前で長さも合わせていない生(ナマ)ヒゲといわれる状態です
しかしテンシンといわれるヒゲゼンマイを止める軸の部分が細すぎて止めることができません
ヒゲ玉といわれる部分の穴の大きさが全然違いますね
広げることはできますが縮めることはできません
というわけで作りましょう
真鍮棒を切り、ヒゲ留部分を考えて少しセンターをずらして穴をあけます
切込みをいれて細く切れ込みを入れたところにヒゲをかしめてとめます
出来上がりです
生ヒゲはこの次に大まかな長さに切る必要があります
時計の心臓部ともいえるこの部品
掛け時計でいえば振り子と同じ役割をしています
渦を巻いていますがまっすぐにしてやればこんな形です

Xの長さは歯車の数や下の重りの重量で変わってきます
適した長さに切ります
長さの出し方はヒゲを適当な長さで仮組して4番者という歯車の一回転するスピードをストップウオッチで計測します
さて、長さも決まりました
組み込んでいきましょう
この長さ合わせだけで正確に時間を出すのは不可能なので微調整ができる機構が組み込まれています
それが緩急針(かんきゅうしん)です
↓別の時計ですが↓
外周一週目のヒゲを挟むように二本のピンがたっていて緩急針を動かすことでヒゲの長さを変えたのと同じような状態にすることができます
緩急針は時計の地板本体に組み込まれているので円形には動きますが位置を変えることができません

さあ組み付けましょう
緩急針の間にヒゲを通して
ヒゲを固定して
固定して
固定
できない…
困ったことになりました
図解するとこんな状態です

この時計の緩急針の位置ではヒゲが短すぎて長さが全く足りません
このまま組んでしまったら一日に何時間も進む時計となってしまい、使い物になりません
緩急針の位置にヒゲの外周一周目を通すにはどうしたらいいでしょうか
ヒゲの間隔を全体的に縮める?
※ ※ ※ ※
ヒゲゼンマイ調整の大原則の一つに「渦のすべての個所におけるAとA’の幅、ピッチが同一であること」といいうものがあります
これが崩れると正確な時を刻むのは難しくなるのです
※ ※ ※ ※
大原則にしたがってピッチを変えるのは却下です
そもそも1度づつヒゲを曲げても360度が10周で…無理ですね
それに1度って間隔が大きすぎです
どうする俺?
せっかくヒゲ玉まで作ってヒゲ合わせまでしたのにこれでは時計として機能しません
つづく(2/3)
その1はこちら
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